日本人がミス・ユニバースに選出されたとのニュースを見て、そのときの映像をYouTubeで探したわけだが、最初に見たときにやってきたのは、ちょっとした混乱だった。
混乱の原因は、日本代表の森理世さんと韓国の代表と容姿が似すぎていていたことにある。
それまで、森さんの顔も1枚の写真で見ただけだったし、スペイン語でのアナウンスも国名以外は何を言っているのか分からない。そんな中で「ミス・コリア!」の場内アナウンスに続いて、「なんで森さんが出てくるの?」と思ってしまった。
2度目は、そんな混乱を避けるために、場内アナウンスに耳を傾けると同時に、国名が記されたタスキを食い入るように見ていた。
その後、アメリカのメディアで、「森理世は整形している」という記事の証拠写真として韓国代表の写真が掲載されたり、日刊スポーツで森さんを紹介する記事に韓国代表の写真が誤って使われたりといったハプニングが伝えられたときは、いかにも起こりそうなことだと思った。
もう1つ感じたことは、
森さんの容姿が、日本でタレントとして人気の出るタイプではないということ。
我が国の人気タレントの姿も、昔とは随分変わってきた。タレントの若年化が進み、童顔が好まれるようになった。
僕が生まれる20年前に銀幕デビューした女優、原節子さんと今の人気タレントの写真を並べてみると、同じくらいの年齢でも、まるで親子みたいに見える。
そういった時代の流れを考慮しても、日本において、森理世さんのような風貌がスターとして好まれた時代はない。
しかし、海外から発信されるアジア人女性モデルのイメージとは重なるものがあり、欧米と日本では求められる理想の女性像も違うということを感じた。
ネットで「ミス・ユニバース“世界一の美女”の基準は?」という記事を見た方もいらっしゃると思う。そういった記事が露出してくるというのも、疑問を感じた日本人が少なからずいることを想定してのことだと思われる。
世界最高の美女はどのような基準で選ばれるのか。
水着審査やドレス審査で要求される“外見的な魅力”と同等かそれ以上に重要視されるのが“内面の美しさ”。
「美しい内面」と言っても、日本で評価される「決してでしゃばらない、分をわきまえた美徳」などとはかなり違うようだ。
ミス・ユニバースになれば1年間にわたってニューヨークを拠点に世界各地を回り、HIV撲滅運動に参加しなければならない。
その間、各地のミス・コンテストで王冠を渡したり、メディアへの対応などもあり、スケジュールは超過密。
「それに耐えられるか否か」
それが選考基準の大きなウエイトを占めている。
各国の代表は、審査の行われるほぼ1カ月前に開催国に入り、その後の普段の生活態度、特に人との接し方が観察される。
今年の場合、77人の美女たちは5月2日にメキシコに結集し、審査会当日の28日まで各地で現地住民と交流し、HIV(エイズ・ウイルス)撲滅のチャリティー・オークションに参加した。初対面の人ともうまくコミュニケーションできるか、疲れた時でも積極的でいられるかが試されている。
森さん自身、受賞の理由を「ステージ上で心から楽しんでいるというのを審査員に伝えられたのでは」と分析する一方で、「審査会までの活動が評価されたと思う。私が得意な点でしたので、ラッキーでした」とも語る。
英会話能力については、事務局は「まったく審査の対象ではない」としているが、森さんは「コミュニケーションの道具として、英語が話せることは有利だったと思います」と語る。
静岡市出身の森さんは4歳でダンスを始め、高校の時にはダンスを学ぶためにカナダに留学しており、英会話に不自由はない。
過去の優勝者をみると、米国が7人で最多。以下、プエルトリコ5人、ベネズエラ4人、スウェーデン3人。トリニダードドバゴ(2人)やコロンビア、ペルー、チリなども優勝者を出しておりラテンアメリカの強さが際立つ。
森さんは、こう語る。
「彼女らの自分をアピールするエネルギーはすごい。パーティーなんかでは司会者のマイクを奪って歌い出し、まるで自分たちのコンサートのようにしますから」
以上を踏まえると、「ミス・ユニバース」は、「日本におけるミス○○」とはかなりニュアンスが違っているようだ。
※ソース
毎日新聞:ミス・ユニバース “世界一の美女”の基準は?