鹿児島のことを知らない方のために一言説明を入れておこう。天文館というのは鹿児島随一の繁華街である。

駐車場を出て、まずラーメン屋に向かった。昭和25年創業の老舗ラーメン店「こむらさき」。生まれる前からあったわけだが、この店に行ったのは、今日が初めてだった。

インターネットのラーメン・サイトで何度も見ているので、初めて見たという気がしなかった。
賛否両論が賑やかな店なのだが、両極端に分かれている評判ほどに「不味い!」とも「美味い!」とも思わなかった。今度は、夏とは体が全く違うものを求める真冬に行ってみようと思う。
次に向かったのはジュンク堂書店。

お目当ては、ミクシィ内「鹿児島市常盤町」のコミュニティで知り合った若手詩人・三角みづ紀さんの詩集。詩集のコーナーに向かったら、「カナシヤル」と「幸せのカタチ」の2冊が平積みされていた。

(帰宅後、「幸せのカタチ」を読んだのだが、幼少時から現在に至るまでの包み隠さない心模様が、文面からものすごい勢いでに伝わってきて…、その迫力に緊張しっぱなしのまま、一気に読んでしまった。)
書店を出た後、3年ぶりに、カキ氷「白熊」で有名な「天文館むじゃき」へ。

中華料理屋なのだが、店頭にはでっかい白熊人形が設置されている。今や「天文館むじゃき」と言えば「氷白熊」というほどの、が最大の人気メニューなのだ。

コンデンスミルクを絡めたこのカキ氷は、氷のきめが細かく練乳もたっぷり使ってあるので、ずっしり重く、見た目以上に質量があるため、一気に食べると、舌先がヒリヒリし、真夏の熱気の中でさえ体が冷えて、頭が痛くなることさえある。
多少氷が溶けてもかまわないので、ゆっくり、ゆっくり。そこに埋め込まれた南国生まれのフルーツにわが身を重ね、北極の氷で冷やされてゆく自分を想像しながら、目の前の相手との会話を楽しんでいると、体が適度に冷やされ、店の外に出ても、暑気が気にならないぐらいの元気が取り戻せる。
僕が店を出る頃には、待ち客が行列を作っていた。
案内してくれた女店員さん(あるいは女将さん?)に、
「繁盛してますね」
と話し掛けてみたところ、
「まだいいほうですけどね」
「へえ!もっと混むんですか。全国的に有名ですからねぇ!」
「何が切っ掛けになるか分からないです。昭和47年頃までは、お隣の宮崎の人さえ知らなかったんですから」
とのこと。