空を見上げた瞬間、雲の形に目を奪われた。
自宅付近からの撮影。
なんだかアングルよくないなぁ…。
そこで、城山展望所を目指した。
ここから、車で10分とかからない。

移動した分だけ、桜島が大きく見えるが、わずかな時間を経て、雲は薄くなっている。

さらに時間が経過すると、雲はもっと薄くなった。
でも、気流は同じだなぁ。なんだか空の息遣いが感じられるようだ。
ところで、写真に人は写っていないが、実は観光客でごったがえしていた。
旗を掲げたバスガイドさんの説明を、ちゃっかり只で聞いて得してしまおうと思ったのだが、雄大な桜島の背後に大隅半島が見えるとか、老舗デパートの山形屋が見えるとか、どうでも良いことばかり言っていた。
深くえぐられたような錦江湾の特異性や、その北部が巨大な姶良カルデラであること、桜島のそばにある若尊海底火山の存在など、もっと興味深い説明がいくらでもあるだろうに…、とちょっと歯がゆかった。
が…、たぶん大半の観光客は、そんな話には興味示さないんだろうなぁ…。
そんなことを考えていたら、
「すみません、シャッター押してください」
と声をかけられた。
まただ…。
気ままな思考の流れを寸断させられる。
僕は、よほど気安い人間に見えるのか、やたらとこの注文を受ける。
度重なる出来事なので、もう自分なりのマニュアルが出来上がっていて、それに反応してしまう。
「あ、もう少し右に寄ってください」
「3・2・1 ゼロでシャッター押しますから、タイミング良く笑ってくださいね」
撮り終えてからも、鹿児島の印象をよくしたいので、
「どちらから来られましたか?」
「東京からですか! 実は、7年ほど住んでましたよ。Uターンしたんです」
「鹿児島は初めてですか? え?以前住んでらしたんですか」
と…、なんだか親善大使か職業カメラマンみたいなのだが、慣れたというよりは、こういう会話が実は好きなんだろうね(笑)

南の空には、あっけらかんと、魚のように泳ぐ雲。
ま、どうでもいいさ!