小学校3、4年のとき同級だった男の子で、カラスの声を真似るのが上手い子がいた。口に少量の水を含んで、うがいをしながら声を出すのだが、それがカラスの声によく似ていて、担任の男の先生も感心していた。
それから何十年も経って、長野県に住んでいたころ、カラスの声が聞こえると、たまにそのことを思い出すことがあった。だが、その男の子の鳴き真似と実際のカラスの声は、どうも似ていないのだ。その子の声は、トレモロがかかったような濁った「ガー」という声で、昔は似ていると思っていたのだが、果たして本当にカラスはそんな鳴き方をするのだろうか?
そう思うのも一瞬のことで、その疑問にそれ以上拘ることもなく、調べてみたこともなかった。
4年前に鹿児島に帰ってきて、何十年ぶりかでトレモロのかかったカラスの声を聞いた。実に懐かしく思ったものだが、それでも鳴き声の違いについて、それ以上調べてみようという気にまでは起こらなかった。
2~3日前、カーラジオのスイッチを入れた途端に、カラスに関する話が聞こえてきて、一瞬にして、その漠たる疑問が晴れた。
「ガー」と濁った鳴き方をするカラスと「カー」と澄んだ声を出すカラスは種類が違うのだ。濁った声で鳴くカラスは、都会では絶滅してしまったとのこと。何となく気なく見ているカラスに複数種があることなど考えたこともなかったので、新鮮にも感じられた。
「ガー」と鳴くのがハシボソガラスで、「カー」がハシブトガラス。
音声付きで、詳しい説明が出ているサイトを発見。カラスの仲間は、世界に50種、日本でも、主に5種類が生息しているとのこと。
知らなかったなぁ!
http://www7.plala.or.jp/gm2/crow/syurui.htm 鳴くときの姿勢や、歩き方の違いを、アニメーションで示したサイトもあった。
http://homepage3.nifty.com/shibalabo/crow/boso/boso.htm