2、3日前、知り合いの方から、タンカンを山ほど頂いた。
鹿児島市を拠点にデザイン関係の仕事をしている人なのだが、実家が大隈半島の根占という所で果樹栽培をしていて、日曜日に収穫を手伝ったのだそうだ。
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これまでにも何度か書いたが、僕は19歳のときから47歳までという長い間、故郷の鹿児島を離れていた。
そのうち21年間は長野県に住んでおり、たぶん郷里には戻らないだろうと思っていた。
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長野県と鹿児島県では、言うまでもなく自然環境も人の気質も文化も大きく異なっている。5年前にUターンしたときには、生まれ育った場所でありながら、28年のブランクからまるで別世界のように感じた。
長野に初めて行ったときは、りんごの木を見て感動したが、鹿児島に帰ってきたときはミカンの木を見て感動し、空の青さや照葉樹林が生い茂る山々の輝きがまぶしかった。
以後、さまざまな「鹿児島らしさ」への興味が尽きない。
青い空に浮かぶ南国特有の雲の形状、4つのカルデラを有する雄大な地形、薩摩藩の歴史や文化、数々の特産品などがその対象になっているが、
南国らしい柑橘類もその中に含まれる。
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タンカンという柑橘類は、いつごろから出回り始めたのだろうか…。
自分の幼少年期には見たことがなかった。
ポンカンとオレンジの中間種のような感じだ。 産地の沖縄か屋久島あたりで、品種改良されてできた新種なんじゃないかな? などと想像していた。
ところが、調べてみると、原産は中国広東省。
インド・アッサム地方生まれのポンカンと、中国自生のオレンジが、自然交配して生まれたものなのだそうだ。
これって、もしかすると、いわゆる 「進化」 なのかな?
日本では九州南部と沖縄のみで栽培されている。
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先週半ばごろ、前述の知人から誘いがあり、一緒に飲んだのだが、そのときタンカンのことを話したら、「実家で栽培しているので良かったらあげますよ」と、予期せぬ言葉。
そしてその翌週には、5キロ入るという大袋で届いた。
というのが、この記事の冒頭場面だったわけです。
大量のタンカンをずっしりと腕に抱えたとき、
「あぁ、自分は鹿児島にいるんだ」
と実感。
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ところで、「タンカン」という名称、
ミカン(蜜柑)やイヨカン(伊予柑)などと語尾の音は同じだが、字は異なっている。
『短桶』
古代中国の行商人たちが短い桶(おけ)に入れて売り歩いたのが、その名の由来だとか…。
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