「水田真理」さん
ではなく
「水溜」さん

はじめてこの表札を見たときは、珍しい苗字だと思った。
電話帳をもとに作成されたあるデータによると、全国の分を全部合わせても167件。
そのうち、ほぼ半数の84件が鹿児島県。全都道府県中もっとも多い。
2位は青森だが、件数はガクンと減って17件。
以下
大阪・長崎 11件
宮崎 7件
千葉・富山・愛知 5件
と続く。
宮崎の水溜さんは、鹿児島県との県境で旧薩摩藩領だった地域に固まっている。大阪、愛知は、鹿児島からの主な人口流出先。鹿児島県出身者や、何代か遡れば鹿児島に行き着く例も少なくないと思われる。
その「水溜」さん。知り合いは1人もいなかったのだが、最近になってそういう苗字の方と知り合った。
現在、毎週月曜日から金曜日まで受けている講義で、僕の左隣の席に「水溜さん」がいるのだ。
でも、周囲で「珍しい苗字ですね」なんていう会話は聞かれない。
鹿児島県には「たまり」と発音する苗字が、知っている範囲内で「玉利」「溜」の2種類存在する。隣の席の「みずたまり」さんの表記をまだ知らなかった頃、訊いてみた。
みずたまりさんの「たまり」って、どんな字を書くんですか?
「さんずいに留めるっていう…」
「溜めるっていう字ですね」
「はい、よく訊かれるんですよ」
「水溜工業っていう会社があって、それで初めて『水溜』っていう苗字があるって知ったんですけど」
すると、水溜さんは、前の席の人に問いかけた。
「水溜食品ってありますよね」
「うんうん」
鹿児島県に長年住んでいる人にとって、「水溜」はそれほど珍しい苗字ではないらしい。
以下は、鹿児島県内での分布。
①指宿市 33件
②南九州市 17件
③鹿児島市 14件
④南さつま市 13件
知り合いの水溜さんは、指宿発祥とのこと。
「南薩に多いんですよね」
と言っていたが、まさにそれを裏付けるデータが出てきた。
以前紹介したことのある「鏑流馬(やぶさめ」さん。
これと同じ苗字の方も、僕が先月辞めた職場に途中入社してきた。
そのときも、周囲の誰も、とくに苗字には反応しなかった。
そんなときは、
「ああ、ここは鹿児島なんだなぁ!」
と改めて感じてしまう。
=== === === === === === ===
スポンサーサイト
食品会社の功績 アリかも