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 中学校へ入学したばかりのある日の朝。鹿児島の中心街へ繋がる向かうメインストリートを、学校へと向かって歩いているときだった。どこからか聞こえていたのか、たぶん音源はラジオだったと思う。耳慣れない歌声が聞こえてきた。よく響く、高くて綺麗な声だった。
 ― 花咲く娘たちは 花咲く野辺で
    ひな菊の花の首飾り やさしく編んでいた

 花咲く娘たち… ひな菊の花の首飾り… やさしく編む…

 そういった言葉の1つ1つが、小学校を卒業したばかりの12歳の心を掴んだ。普通の流行歌とはなんか違うなと思った。

 ― 花つむ娘たちは 日暮れの森の 
    湖に浮かぶ白鳥に 姿を変えていた

 ロシア文学「白鳥の湖」を思い出していた。物語の先が気になってしまい、足を止め、結局最後まで聴いてしまった。心は現実から遊離し、異空間の中を漂っていた。ぼ~っとした頭でその文学的な世界を反芻しているうちに、歩調もすっかり緩んでいたのだが、そのことに気付いていなかった。しばらく経ってから、ふと我に返り、時間の遅れを取り戻すべくスピードを上げたのだが、時間のロスを取り戻すことは不可能で、敢え無く遅刻してしまった。

 歌が聞こえてきたのは、卒業したばかりの小学校のすぐそばだった。学校への通学路から外れていたのが謎だったのだが、当時のことをよくよく考えているうちに、入学直後は、最短コースを知らずに、大通りを辿って学校に行っていたことを思い出した。その後すぐに、学友から近道を教えてもらったのだ。シングル・レコードの発売日を調べてみると、同年3月25日となっているので、たぶんそれで間違いはないと思う。
 その歌は直後に大ヒットし、歌声の主もテレビ映像からすぐに分かった。その時、驚きを感じたことを覚えている。歌っていたのは、意外にもその頃人気絶頂だったザ・タイガースのメンバーだった。人気者のジュリーこと沢田研二ではなく、その横に立ってギターを弾いていた人。
 
 タイガースと言えば、当時マスコミによって名づけられたグループ・サウンズと呼ばれるバンド群の中でも人気抜群で、ヒット曲「君だけに愛を」の指差しポーズに、全国の少女たちが熱狂していた。小学校6年生だった当時のクラスメイトの女の子たちの様子を思い出してみても、そのジュリーや加山雄三などのスターを憧れの対象として、よく話題にしていた。
 一方の男子はどうだったか…。沢田研二と同年生まれの女性歌手と言えば、都はるみ、森山良子、黛ジュン、中村晃子…、という顔ぶれになるが、女の子たちがジュリーを見る眼差しとは明らかに差があり、遥か彼方の遠い存在として見ていた。
 ブームを生んでいたグループ・サウンズに全く意識が向かなかったわけではなかったが、ブルーコメッツのヒット曲「ブルーシャトー」の歌詞を「森トンカツ、泉ニンニク」などと、他愛無い替え歌を喜ぶといった程度のものだった。

 同級生の男の子たちとの話題は、芸能界ではなく、もっと違った方向に向けられていた。
 王、長島という強打者を2枚看板として持つジャイアンツが、65年以降、V9に向けて常勝街道をひた走っていた頃だ。66年から少年マガジンで連載されていた『巨人の星』も人気が高まっていた(アニメ化され、テレビ放映が開始されるのは、その翌年のことになる)。話題は、もっぱらそういったスポーツ分野に向けられていた。
 女の子に関心が無かったわけではないが、そんな気持ちをストレートに口にするのは余りにも照れ臭く、男の子同士で交わされる女の子の話題は、からかい半分のものばかり。小学校高学年程度だと、心身ともに男女の発育の差が大きいとはよく言われるが、そんなことを思い返してみても、実際男の子の方がかなり子供っぽかったと思う。

 そんな男の子たちにとって、テレビで映し出されるコンサート・ホールで、美形のマスクに零れるような笑顔を浮かべ、指先ポーズで煽り立てるジュリーに、キャキャーと騒ぎ立てる少し年上のお姉さんたちの姿は、完全に理解の範囲を超えており、グループ・サウンズに対しても、好感を持っていなかった。
 ところが、突然頭角を現したトッポこと加橋かつみの歌う姿は、そんな狂態とは対照的で、グループ・サウンズそのものに対する見方が変わった。

 「花の首飾り」から半年後、再び彼がリード・ヴォーカルを担当した「廃墟の鳩」も、歌われているテーマは、卑近な恋愛ではなかった。

 ― 人は誰も 悪いことを 覚えすぎたこの世界
    築き上げた ユートピアは 壊れ去った 脆くも
  
    誰も見えない 廃墟の空 
    1羽の鳩が飛んでる 真白い鳩が

 子供のボキャブラリーの中には、「廃墟」という単語も、「ユートピア」という単語も存在せず、そこに謳われた歌謡曲らしくない宗教的かつ敬虔なテーマとともに強く印象付けられた。生真面目な顔つきから発せられる透明感のある美声で、文学的な歌詞を歌い上げる姿は、崇高ささえ漂わし、それがそのまま、加橋かつみ本人のイメージとして形作られた。

 「花の首飾り」から僅か1年後の3月。その加橋が突如失踪事件を起こし(実は、プロダクション側の思惑も絡んだ「やらせ」だったらしいが)、そのまま除名となってしまう。それを機に、グループ・サウンズ全体に対する見方も、再び温度下降。ほどなく押し寄せた、ブリティッシュ・ロック界の変革の大波に直撃を喰らい、中学3年から高校時代は、熱血ロック・キーボード小僧と化することになる。

 昔の事として、この「熱血ロック・キーボード小僧時代」を口にすることはよくあるが、それに比べ、そのまた昔の「トッポ・ファンだった2年間」に関しては、話す機会は少ない。

 月日は流れ、中学時代から30年以上が経過したが、かつて加橋氏に対して抱いた「理想に向かう崇高な歌い手」というイメージは、心のどこかにそのまま残っている。また、中学当時、彼の歌唱に似せて歌うことに快感を覚えていたので、今でも、「花の首飾り」や「廃墟の鳩」を歌うと「似てる!」という声が返ってくる。

 長野県に住んでいた4~5年前のことになるなるが、当時行き付けだった店で、この「花の首飾り」をカラオケで歌ったときの、一世代下の若い子の反応。

 ― これ、演歌なんですか?

 そんなもんかな?

■「花の首飾り」ヒット当時の貴重な映像


シングル盤『銀河のロマンス/花の首飾り』のジャケット
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