ビリー・ジョエルは、ソロ・シンガーとしてデビューする前、Attilaというハード・ロック・バンドを結成している。メンバーは、ヴォーカル&オルガンのビリーとドラムのジョン・スモールの2人という極限的最小ユニット。オルガンにディストーションをかけ、ギターライクなサウンドに仕上げていた。
1970年に、1stアルバム“Attila”をEpicからリリースしている。日本ではCBSソニーから発売され、ポップ誌『ミュージック・ライフ』の広告ページで小さく紹介されていたのを見て、その存在を知った。雑誌に掲載されたのは、その広告のみで、アルバムについてもバンドについてもレビューは無し。つまり、完全に無視されていたと思う。
アルバム“Attila”を初めて耳にしたとき、かなり興奮したような記憶が残っている。中学3年生だった。ハード・ロック、そしてキーボードに目覚めた頃で、ギターに対しては敵愾心と憧れの入り混じった複雑な気持ちを抱いていたので、オルガンでもギターみたいなサウンドが出せ、華麗なテクニックを見せ付けることが可能だということを実際に示してくれただけで、快感を覚えた。
その後、ハード・ロックからプログレッシヴ・ロックへ、そしてクラシック近代、現代音楽へと興味が移り、音大入学を目指して受験浪人していた19歳の頃(1975年)、“Attila”への興味も完全に失せアルバムを売り払ってしまった。
その2年後、ビリーは『ストレンジャー』のヒットで広く名前を知られるようになる。アルバムを手放したことを後悔した。Attilaのアルバムは復刻されず、現在でも入手困難となっている。ブートレッグで入手できるという話も聞いたことがあったが、常に情報収集するほどの熱意までは持ち合わせていなかった。
アルバム“Attila”を手放してから約30年。その中の4曲を視聴できるサイトを見つけた。
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こちらをクリックすると、そのサイトが開きます 不思議と懐かしさは余り感じなかった。中学生だったころの感じ方と現在では、大きく変化してしまっている。その後の成功のことも知ってしまった後では、「ハード・ロックには向かない声で、無理して歌っている」という受け止め方しかできなかった。ギターみたいな音も、せっかくハモンド・オルガンを使用していながら勿体無いとしか思えない。
やっぱり、ビリー・ジョエルは、その後のスタイルが似合う。Attilaがなまじ中途半端な成功などしなくて良かったと思う。
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こちらをクリックすると、YouTubeの動画を見ることができます。
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