日本人なら誰もが口ずさめる童謡「ちょうちょう」。16小節からなる単純2部形式の、実にシンプルなメロディーです。スペイン民謡ともドイツ民謡とも言われていますが、すっかり日本の歌として、定着していますね。
日本語の歌詞は、元歌とは関係無く、日本で後付けされたものらしいのですが、音の動きと、日本語の歌詞との一体感、その単純な表現から描き出されるイメージ世界の鮮やかさには、惹かれるものがあります。
皆さんよくご存知の歌ですが、敢えて細かく振り返ってみます。
ちょうちょう ちょうちょう なのはにとまれ
ソミミ ファレレ ドレミファソソソ
まず全く同じモチーフが高さを変えて、2度現れます。「ちょうちょう、ちょうちょう」という穏やかな呼びかけの部分です。次に、順次進行の上行フレーズが現れ、「なのはにとまれ」という蝶々への優しく誘いかけるメッセージが乗っかります。
だたそれだけのシンプルなフレーズですが、音の動きと言葉とが、実にしっくりとできています。
― ちょうちょう ちょうちょう 菜の葉にとまれ
その次の、「なのはにあいたら」という部分は、最初の2小節「ちょうちょう ちょうちょう」という部分の、リズムを変えたものですね。音数が増えることによって菜の葉に飽きてうずうずし始めた気持ちが表現されています。
― 菜の葉に 飽いたら
それに続く「さくらにとまれ」という部分のフレーズは、中高で、最後がふわりと下がっています。菜の葉の回りを飽きるほど飛び回り、そのあと桜へと場所を変え、「ふわりと舞い降りよ」といったような気持ちが優しく現れています。
― 菜の葉に 飽いたら 桜にとまれ
この後に現れる動きは、それまでとは異なっています。
前半の音の動きは、上への動き、下への動きが、それぞれ2小節の中で、ふわりふわりと収まっていますが、ここに来て、倍の4小節をかけて、長い呼吸で上へ上へと動いて行きます。そして、歌詞が描き出すのは、桜の咲き乱れる、広がりのある世界。
― 桜の花の 花から花へ
続く場面では、その春爛漫の花の世界で、飽くことなく飛び続ける蝶々たちの喜びの世界が表現されています。
― とまれよ遊べ 遊べよとまれ
前半の「菜の葉に飽いたら桜にとまれ」と音の動きは、同じなのですが、その前に現れる広がりの世界の後なので、そこに現れる気持ちも違って感じられます。
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