ミクシィの鹿児島弁コミュニティに、方言に関する面白い書き込みがありましたので、書いた方にご了承いただき、ご紹介させていただくことにしました。
書かれたのは大阪在住の主婦の方で、内容は、ご本人と義理のお母様(80歳)との会話。義理のお母様は鹿児島出身で、この10年ほど同居されているそうです。
義母「あたや はんに 頼みがあっと」
私 「え、なんですか?」
義母「そいがな 思い出せんと」
〜 しばしの間 〜
義母「おめでた!」
私 「誰が? ○○さん?」
義母「うんにゃー。あたいがおめでた」
私 「えーーーっ! お母さんがおめでた? どういうことなん?」
義母「あたや はんから 財布を 買(こ)てもろと思て」
私 「それとおめでたとどんな関係があるの?」
義母「おめでたからよ はんな ふが良かでな 春に ふの良か人から財布を 買てもろたら あたいも 良かと思ちょったとこ」
*** *** *** *** *** ***
会話の噛み合わない原因は、「思い出した」が鹿児島弁では「おめでた」と発音されることに因っています。
鹿児島独特の音便化の1つに、(oi)→(e)があります。
来い(koi) → け(ke)
太い(futoi) → ふて(fute)
樋の口(toinokuchi) → てのくち(tenokuchi)
これらの例と同様に、「思い(omoi)」は「おめ(ome)」となります。
「思い出した」の「出した」は、少し違う言い回しで「出た」と表現されるのでしょうか(こちらは僕の仮説です)。
上記の会話を共通語訳すると、次のような感じになります。
義母「私は あなたに お願いがあるんだけど」
私 「え、 何ですか?」
義母「それがねぇ、思い出せないのよ」
〜 しばしの間 〜
義母「思い出した」
私 「(てっきり『おめでた』だと思って)誰が? ○○さんが?」
義母「いや、私が思い出した」
私 「えぇ〜 お義母さんがおめでた!! どういうことなんですか?」
義母「あなたから財布を買ってもらいたいと思ってね」
私 「(勘違いしたまま)それとおめでたとどういう関係があるの?」
義母「思い出したからよ。あんたは福運の付いてる人だからね。春に運の良い人から財布を買ってもらうと、私も良く成ると思っていたところだったのよ」
しかし、お母さんから「あたいがおめでた」と言われたときには、さぞかし驚いたことでしょうね。
※付記
今回、鹿児島弁の音便化について調べているうちに、ひとつだけ新たに気付いたことがありました。
鹿児島では「疲れていてキツイ」という意味の「てそか」という言葉があります。言葉の成り立ちについては知らなかったのですが、「大層だ」が変化したものだということを、本日初めて知りました。
鹿児島弁には、(ai)→(e)という音便化も存在します。
貝(kai) → け(ke)
大根(daikon) → でこん(dekon)
大概(taigai) → てげ(tege) などがその例です。
この法則にしたがって、大層(taisou)→ てそ(teso)となり、「大層だ」は「てそか」となるわけです。
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